去年の12月、女性から面と向かって「好きです」と言われました。
彼女いない暦4年以上の32歳ですがお付き合いはお断りしました。
周囲からは沢山のご意見をいただきましたが、僕なりの苦悩があり主張があったんです、という話です。
その人とは去年の秋に出会いました。
僕が会社の取引先(34歳独身男性)と飲んでいたら、取引先の人が泥酔してしまい、迎えに来た妹さんがその人でした。
その人は何度も「兄がすいません」と頭を下げ、真っ白なミニクーパーに泥酔した兄を押し込んで去っていきました。
その後、偶然街で会うことがあり、連絡先を交換し、食事に誘われ、デートみたいなことは1回もしなかったんですけど、2回目の食事の終わりに好きだと伝えられました。
告白が予期せぬものだったということもあり、その場で返事はしなかったんですけど、その後の僕といったら、空の色がいつもより青く見えたり、食事がおいしく感じたり、道に咲いている名も知らぬ花に愛しさを感じたりしていました。
ようするにニヤニヤしていたんですけど、きっと石とか投げられても
「へへ、よせやい…よせったら…いてて、やめろやい…」
とか言って笑って許していたと思います。
その人は、ひいき目無しで見ても大変美しい顔立ちの女性です。
芸能人で言うと榮倉奈々さんに似ていて、似ていると言うかほぼ本人で(よく似ていると言われるそう)、正直、めっちゃタイプです。
ルックスだけではなく、スタイルも抜群で、髪の毛ツヤツヤ、性格は明るくて、頭も良く、何より真面目な女性です。
彼女いない暦4年半。32歳独身。恋人欲しい。結婚願望もある。
断る理由はありませんでした。
でも、その人と真剣に向き合ったときに、付き合う理由が無かったのです。
具体的に言うと、その人との未来を想像することができなかったのです。
その人の年齢は26歳。
2年間の海外留学の経験があり、医学の道に進むために大学で勉強をしています。
要するに学生なのです。
来年、国家資格の試験があり、合格すればその後社会人になります。
だから、これはしょうがないんですけど、言葉使いとかマナーとかが社会人に比べるとずいぶん幼くて、世間を知らなくて。
そして、家がめっちゃお金持ちで、お酒が飲めなくて、生ものが苦手で、動物が苦手で。勉強が超できて、お菓子作りが得意で、運動は苦手で、身体があまり強くなくて、実家から出たことがなくて、仕事はもちろん、アルバイトすらしたことが無くて。
一方の僕は、32歳で、独身で、毎日お酒を飲んで、生ものが好きで、動物が好きで、勉強は苦手だけど運動は得意で、健康で、14年独り暮らしをしていて、毎日夜中まで仕事をして。そして、次に付き合う人とは結婚したいと思っていて。
そうなると、やっぱり結婚はできないのかなって。
下半身の勢いで生きていた頃なら絶対に付き合っていました。
でも、僕が32歳で結婚を意識し出したから、あんなに美しい人からの告白すら断らなくてはいけないのかと。
周囲からは
「考え直せ」
「とりあえず付き合ってから考えればいい」
「その人も社会に出るんだから変わっていくよ」
と言われました。
確かに。それも分かります。
その人も社会に出て、数年も経てば立派な大人です。
でも、その時、僕は何歳でしょうか。
恐らく38~39歳になっているんじゃないでしょうか。
もっと僕が若くて、一緒に社会人になり、一緒に大人になれれば良かったんだと思います。
GLAYはHOWEVERという曲で「出会うのが遅すぎたねと、泣き出した夜もある」と唄いました。
TERUさん、HOWEVER出た頃、僕は14か15歳だったからその時は分からなかったけど、今なら分かります。
今回のブログ、人によっては(何言ってんだこいつ?)と言われそうな内容ですが、これは僕のような結婚から目を背け生きてきたタイプの独身アラサーアラフォー男女が持つ、根深い 、すごく根深い問題だと思うんです。
僕たちは、独身を謳歌する代償に恋人の選択肢を毎日少しずつ狭めているのです。
「恋愛と結婚は違う」頭では充分理解していたつもりですが、なるほどこういうことかと身をもって理解した、という話です。
だって、毎日が楽しいのです。
めっちゃ楽しいのです。毎日が。
独身で過ごす30代40代の生活の楽しさは異常なのです。
生活の全ての決定権が自分にあるということ。何を買うも何を食べるも自分に責任があるという自由。
お金も若いときに比べれば手元にあるし、仕事もやりがいを感じたりして。
独身の友人との交流、趣味に費やす時間とお金。
周囲も晩婚化だし、友人達は離婚もしている。
僕らは「結婚したい」「恋人ほしい」と嘆きながらも、本当は(ベイビー結婚なんかまだ先だぜ)と孤独に過ごす毎日を愛しているのです。
今回の一件で、僕の選択肢は毎日少しずつ狭まっていることを身をもって知りました。ツケが回ってきたことを痛い思いをして知りました。
誰か僕に石を投げてください。
きっと今度は「へへ、よせやい…よせったら…へへ…やめろやい…」って言いながらボロボロと涙を流すと思います。
ロマンスの神様、もういいんです。映画やドラマのような運命的な出会い、いらないです。大丈夫です。ありがとうございました。あと、せっかくセッティングしてくれた出会いにちゃんと向き合ってこなくてすいませんでした。
ずうずうしいお願いなんですけど、年齢は問わないので、たくましく生きていて、お酒も動物も生ものも好きな女性、お願いします。
健康で、人生の酸いも甘いも一通り経験した女性、お願いします。
長澤まさみに似てなくてもいいです。
巨乳じゃなくてもいいです。
目の大きさとか、メイク時とすっぴん時の差とか、気にしません。
寝顔、ブサイクでもいいです。
でもできれば美脚の人がいいです。
もう「40歳くらいまでに結婚できればいいや」とか言いませんから。
「少し本気出せばすぐに結婚できる」とも言いませんから。
ファッション感覚で「恋人ほしい」って言いませんから。
あと、ここで言っても届かないのは百も承知なんですけど、お付き合いできなかった美しい人よ、国家資格の試験がんばってください。超がんばってください。応援しています。密かに応援してます。そして、僕の知らない場所で、知らない人と、最高に幸せになってください。
ついでに、最近その人から来た「模試の結果悪かったー」(+猫が落ち込んでいるスタンプ)というLINEを既読のまま放置している自分、がんばれ。超がんばれ 。
ありがとうございました。
おしまい
※ずいぶん前にTwitterの童話さん( @tatanai_douwa )発刊の雑誌「くらいせる」にコラム書かせていただきました↓