無職の決意

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2018年11月に10年間務めた会社を辞め、無職になりました。

入社してからの10年間、会社を休んだのは兄の結婚式だけ、という健康優良児日本代表のようなフィジカルとメンタルの強さが売りだったのですが、4月くらいに人員の兼ね合いでただでさえ激務だった業務が企画営業・管理・採用とさらに激務になり、約4か月の間で完全に1日休みだったのは2日間、土日どころかゴールデンウイークも無し、睡眠時間は平均3時間、徹夜も週に1~2回、早朝から深夜(深夜というよりはほぼ早朝)まで仕事という日が続きました。

中小企業にありがちな「誰かが辞めるとしわ寄せが一か所に集まる」の極端なパターンでした。

 

「あれ?なんだこれ?」

 

ある朝、真っすぐ歩けなくなりました。身体も動くし、心も元気なのですが、酔っ払っているような状態です。

 

「ちょっと遅れます。昼までには行けると思う」

 

会社に遅れる旨の連絡を入れ、部屋着のまま這うようにして病院に行くと医者から「よくここまで普通に来たね。タクシーで来たの?救急車使ってもいいよ、これは」と言われました。

 

高熱、血液検査の数値もデタラメ、三半規管に水がたまり回転性のめまい。左耳の聴力は7割無くなっていました。

 

過労が原因でした。その日、僕は10年目で初めて会社を休みました。

 

ポタリ、ポタリと身体に入る点滴を受けている最中、病院の真っ白な天井を見上げながら

 

(この点滴が1時間以内に無くなったら会社を辞めよう)

と、今考えたらわけの分からない決意をします。

 

気付いたら寝ていたのですが、起きるとまだ点滴は残っていました。

時間は2時間近く経過していたと思います。

 

僕「点滴、落ちるの遅いですね。たぶん2時間くらい経っているのに終わってない」

看護師さん「これ2本目ですよ」

僕「2本目?1本目は?いつ終わりました?1時間以内に終わったんですかね?」

看護師さん「?」

僕「打ち始めてから1時間以内に終わったか知りたいんです」

看護師さん「終わりましたよ」

僕「わかりました。ありがとうございます。辞めることにします」

看護師さん「?」

 

それからなんだかんだあって会社を辞めるまで半年くらいかかったのですが、身体もパーフェクトに回復し、左耳はなんなら平均よりも聞こえるようになりました。なんじゃそりゃ。

 

36歳独身無職、という反社会的な肩書を手に入れました。

毎日ゆっくり寝て、たくさんの本を読み、好きな映画や海外ドラマを観て、展示会やイベントに顔を出し、ていねいに料理をして、大好きな海や山や銭湯に行き、夜ふかしをして、眠くなったら寝るだけ。はじめの1ヶ月間で腹筋が見当たらなくなったので年が明けてからは運動もしています。人生において無職になったのは初めてですが、心身がすみずみまで再生していくことを実感しています。

 

大好きな後輩がたくさんいる会社でしたが、辞めて本当に正解だったなと思っています。 

 

さて、これからどうしようかな、と。

 

一生逃げ切れるお金も、たいした資格も無い僕は働かなければ生きていきません。

お金が必要です。

 

それなのに、今見ていただいているブログの広告を貼ることを止めました。

頻繁に(と言っても月3回くらい)更新したときは月間PV100万を超えます。数か所に広告を貼るだけで、それなりのお金が入っていました。無職になった今、しようと思えば毎日のように更新できます。そしたら、少しぜいたくな生活ができるくらいの収入にもなったかもしれません。

でも、広告を貼ることを止めました。無職なのに。

逆に、はてなブログ(に限らず多くのブログサービス)は広告を完全に非表示にさせるには毎月お金がかかります。このブログを維持し続けるだけで僕は毎月赤字です。

 

自分でお金を払ってまで広告を止めた理由はひとつ。

ちょっと恥ずかしい言い回しですが、正直に言えば「信頼」と「決意」です。

 

ブログを更新すると様々な意見をいただきます。

中には「あなたはまちがっている」という意見や、もっと強めの意見、いわゆる誹謗中傷もあります。それはしょうがない。十人十色の意見がありますから。いいんです。それに、いただいた意見で僕も考えが広がったり、新しい発見があったりもします。

でも中には「人の不幸(具体的には失恋や不倫)を書いてお金にするのは楽しいですか」という意見があります。確かに僕は自分や友人たちの失敗をブログに書いてきました。でも、ブログを通して伝えたいことがあったから書いた。お金が欲しかったからではありません。

 

僕は広告を貼らないことで、この意見に「お金じゃなくて、伝えたいことがあるんです」という意思表示をすることにします。

僕は文章を書くこと、読んでいただくことが好きです。歌も下手だし、踊りも踊れない。文章を書くことが大切な自分の表現方法の一つです。

 

2020年12月30日追記

はてなブログPROを解約したため広告が表示されるようになりましたが当然僕には広告費は入ってきません

 

 

同じくTwitterやブログで「商品やサービスを紹介してください」というPRのご依頼を沢山いただきます。中には「こんなに?」と驚くほど高額なギャラを提示いただくものもあります。これに関しても、自分がおすすめできない物を紹介することもありません。長年モノづくりの仕事をしてきました。本当はおすすめできない商品も山ほど売ってきました。仕事だから。でも、無職になってまで同じことをしていたら、取り返しのつかないことになってしまいます。 

自分がおすすめできない商品やサービスを紹介した結果「ブログの更新楽しみです」と言っていただけるみなさんの「信頼」を裏切りたくないからです。貴重な時間やお金を奪いたくないからです。

 

そして、僕自身に「ブログで食べていく」という意思が無いからです。

やりたいことが山ほどあります。でも、あっという間に時間は流れる。雨が降るたび季節が変わって、あくびしたりクシャミしてたらあっと言う間に日が暮れます。30歳になったと思ってたらっという間に半分終わってました。なんとなく生きてたら年号まで変わろうとしています。誰にも拘束されない環境だからこそ、ブログ収入をゼロにして、それを数万人のフォロワーのみなさん、読者のみなさんに公表することで自分を追い込む必要があります。 

 

この「広告を貼らずお金を放棄する」という行為が、回りまわって何年後、もしかしたら何十年後の自分から「いい判断でした。正解でした」と褒められる価値ある行為になると信じます。

 

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ありがとうございました。

 

おしまい

 

【その後】

7月1日、喫茶店、オープンしました。お気軽にどうぞ。

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