また一人、友人が離婚して僕たちの住む村に戻ってきました。
彼の結婚を盛大な宴会で祝い、村から送り出したのは3年前です。
長旅おつかれさまでした。すぐに歓迎の宴の準備です。今宵は養育費や慰謝料のことは忘れて飲もう。こっちも祝儀のことは忘れるから。ごちそうを作り、楽器を鳴らし、朝まで歓迎のダンスを踊ろう。積もる話もあるだろう。今日からまた独身村の一員だ。一緒に歳を重ねよう。Facebookに並ぶ同級生の配偶者、子供の成長、新婚旅行を見よう。「もう二度と結婚はいいや」なんて言ってるけど、きっと変わるはず。どれくらい先か分からないけど、時間が経過すれば結婚願望は沸いてくるはず。これまで村に帰ってきたたくさんの村人たちがそうであったように。
僕も気が付けば36歳。いつのまにかアラサーではなくアラフォーになっていました。
今思えば、これまで数えきれないくらいの「結婚願望ないの?」という質問を受けてきました。
男女間において「好きなタイプ」「好きな芸能人」と並び、よくある質問が「結婚願望あるの?」です。
ところで、なぜ人は「結婚願望あるの?」と聞くのでしょうか。
結婚願望が無い人もいるんでしょうけど、それはレアケース。だいたいある。ペンを指さして「Is this a PEN?」って聞くようなもんなんです。「YES」以外の回答が見当たらない。ペンだろ、どう見ても。リンゴにでも見えるのか?本当に愚かな質問。聞くなよ。
って毒づきたくなるくらい独身村の民は結婚したいと思っているわけです。特に30代以降はみんな思っています。
労働、家事、納税などを一人で上手にこなし、宴では楽しく飲みながらも(おらこんな村嫌だぁ、おらこんな村嫌だぁ)って思っている。テレビもある。ラジオもある。村での生活を楽しんでいるように見えるかもしれないけど、どうか忘れないでほしい。みんな、結婚したいって思っていることを。
今回は男女間で交わされるコミュニケーションにおいて、最も愚かな質問である「結婚願望あるの?」について村を代表して書きます。
女性もよくアホな顔した男性に「結婚願望あるの?」と聞かれると思います。
もう大まじめに答えるのはやめましょう。
これっぽっちもまじめに答える必要はないんです。
なぜなら、多くの男性はたいして興味無いからです。実は興味無いのです。
「待て待て!興味あるから聞いたんだろ?」という意見もわかりますが、多くの女性には多からず少なからず結婚願望があるということを、男性は知っているのです。
「じゃあ聞くなし。子孫繁栄は本能。結婚願望あるに決まってんだろ」っていう意見には愚かな男性を代表させていただき「おっしゃるとおりでございます」しかありません。
しかし、聞きます。男性は軽い気持ちで聞くのです。いいんです。真剣に口説いてくる人だったら。本当に興味があって聞いてる。問題は無作為に、鼻毛出しながらあいさつ代わりに聞いてくる輩です。
そのくせ「結婚願望?ある!めっちゃある!結婚したい!!結婚!結婚!今すぐ結婚!」と答えられると(うわぁ、焦ってんなぁ……必死かよ)と引きますし、「ない」と答えられても(はいはい、今は結婚しなくてもいいのね。さぞ充実した趣味や仕事があるんですね)と考えます。「無いよ。私、結婚しないって決めてるんだ」なんて想定外の回答が返ってきたりなんかすると(やべぇ…)みたいな空気を出す。なんだそりゃ。
少し考えたらめちゃくちゃ失礼な質問なんです。人様のライフプランをずうずうしく聞くんですから。何かしら事情があって結婚できない人だっている。男性だって本当はこれがデリケートな質問ということを分かっている。30代の女性には軽々しく聞いてこないのが証拠です。
男性が真剣な顔して聞いてくる「結婚願望あるの?」には丁寧に答えてあげてください。でも、鼻水たらしながら聞いてくる「結婚願望あるの?」には真剣に答える必要ありません。適当にあしらいましょう。
強いて正解を書けば、前のめりすぎなければなんでもいいんです。「結婚?もちろん、いつかは」でいいんです。
「やだ……それって……遠回しなプロポーズ?」ってボケでもいいと思います。
「私、こう見えて保険のこととか都道府県の助成金のこととか詳しいから結婚向いてると思うんだよね」などで結婚向いてますアピールでもいいです。
「その質問に何人の女が期待を込めてきたか……ここで結婚したいっ!って前のめりになったら引くでしょ?でも無いって言ったら駆け引きしてるみたいでしょ?何?何て言うのが正解なの?何て言って欲しいの。ねえ、教えて。教えてよ。言われたとおりに答えるから。がんばるから。私、がんばるから!ねえ!ねぇってば!!」で男を困らせてもいい。
「けっ……こん…懐かしい響きね……」ですらOK。
自分と相手のキャラによって使い分けてください。
(バカな男ね)と感じながら愚かなコミュニケーションに付き合ってあげましょう。
男性が悪気無く、興味本位で聞いてくる適当な質問には相手と雰囲気見ながら適当に答えてりゃいいんですよ。
デリカシーが無い男性の質問で、あなたが傷つく必要なんかない。
以上!解散!
ありがとうございました。
おしまい
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今回のブログは3月15日に発売される書籍「ハッピーエンドを前提として」には掲載されないボツになった原稿です。しかも一番最初にボツになりました。
ボツ理由:これ、ほとんどウイさんの個人的な愚痴。(編集者)
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