本格的に悩み相談を受けるようになって約2年半が経過しました。
2年半も経過して気付いたことなのですが、僕に悩みを寄せていただくほとんどの女性に「長女」という共通点がありました。
悩みを受ける際、ある時期から必ず家族構成をヒアリングするようにしているのですが、女性のうち7割が長女だったのです。
最近、あまり言わなくなりましたが、僕はすきあらば「この世は賢い女性、物分かりの言い女性、がまん強い女性ほど幸せになりにくいように仕組まれている」と言っていた頃がありまして、これは一冊目の書籍のサブタイトルになった言葉でもあります。この言葉は、長女タイプの女性のことを言っているような気がします。(『長女』ではなくあくまで『長女タイプ』です。詳細は後術)
甘えたくても甘えられないのが長女タイプの女性。
なぜなら甘えてもいい環境が少なかったから、どこまで甘えていいのか?その加減や、甘える術を知らない。
自ら選択した立場ではないのに「お姉ちゃんなんだから」という抗えない理由を一番近い存在の親から与えられ、様々な場面でがまんを強いられるばかりか、いつだって弟や妹のためのパイオニアの役割を課されてきた。パイロットフィッシュの役目だってやった。
期待に応えようと人知れず重ねてきた自己犠牲。
いざ甘えてもいい環境に身を置けたとしても
「自分、大丈夫です。平気っす。余裕っす。へっちゃらですから。あざした。では」
と辞退してしまう。
なぜなら、甘えられる側は負担を感じているに違いないと信じているから。
人様にストレスを与えるくらいなら、自分が我慢する方がずっと気が楽なんですよね。
そうやっていろんなことを我慢していると、小さなストレスは地層のように積み重なる。
しかし、無限には堆積しない。いつか限界は訪れ、家族や恋人からのささいな一言をきかけに噴火してしまう。
中には声を荒げ怒ったり、涙を流す人もいる。
でもそうすると
「え…?そんなことで怒るなよ」
「急になんだよww情緒不安定かwww」
「怖いよ。メンヘラかよ」
とか言われてしまう。
それが怖くて、人間関係において大切なものを静かに諦めてしまう人もいる。
それが長女の宿命。
僕はいつも思うのですが、上手に甘えられずにフガフガしたり歯を食いしばっている人ってめちゃくちゃかわいいんですよね。あれこれと甘えてくる人よりも人間味があるじゃないですか。そんなのめちゃくちゃかわいいじゃないですか。
でも、そういった強さやかわいさは伝わりにくい。
特に男性には伝わりにくい。多くの男性は鈍感で、察することが苦手な生物なので、分かりやすく甘えてくる女性ばかりかわいがってしまう。そして、男性は女性からの要求に応え、喜んでもらうことに生きがいを感じる生物。嗚呼、なんて不都合な真実。
もちろん本物の長女はもちろん、末っ子でも兄や姉がフラフラしていて、兄や姉が果たせなかった責任を押し付けられる長女タイプの末っ子だっている。見た目は明るくて天真爛漫に見えるキャラでも、大事なところで言いたいことを我慢してしまう人です。
一人っ子は大事に育てられるので甘え上手に見られがちですが、みんなそうかと言われればそうじゃない。中には親からの期待を一身に背負う厳しい環境下で育ち、甘え下手になった長女タイプの一人っ子もたくさんいます。
男性も無関係ではありません。僕も長女気質なところがあります。年子の兄がいるのですが、自由奔放というか、少し変わり者で、子供の頃に親と買い物に行けば真っ先に迷子になるのは兄でした。学校での兄も変わり者で、僕は「お前、あいつの弟か」と兄の同級生に絡まれることがあったので、「俺は兄貴とは違う」と気丈に振る舞う必要がありました。だから長女の気持ちが少しだけ分かるのです。
長女たちから寄せらる悩みのほとんどは「甘えたい、甘やかされたい。でも、どうしたらいいか分からない」という言葉に言い換えることができます。
そんな悩みから考えると、多くの長女にとっての理想のタイプは「甘えさせてくれる器がでかいしっかり者の男性」ということになります。
でも、需要と共有はいつも食い違う。
多くの長女は「だらしない年上」か「わがままな末っ子」「甘え上手な一人っ子」が寄ってきてしまう。
「この人なら!ようやく見つけた包容力のある年上男性!」と思って付き合うも、相手は既婚者であることもしばしば。映画『海街diary』でもしっかり者の長女は不倫していましたよね。たとえ相手が既婚者であっても、上手に甘えさせてくれる存在であればいないよりははるかにましなのかもしれません。
他人に迷惑や負荷はかけたくないと、いつだって一人ぼっちで考えて、悩み、決断をして、一人で歩き、これぽっちも大丈夫じゃないくせに、笑って大丈夫だと言い張る長女。
どうやったら甘えられるのでしょうか。
「甘えられ、それに応えるのは男性の生きがい。サービスだと思って甘えてください」
こんなアドバイスもずいぶんしてきましたが、わかっちゃいるけどそれができないのが長女メンタル。
僕の周囲の甘え上手を観察したり聞き取りしたりして考えたのですが、長女にリハビリとしておすすめしているのは「自分の感情をそのまま口にする」ということです。
例えば空腹時に言う「お腹空いた」です。
シンプルすぎでビックリしますよね。
でも、多くの長女タイプの人は自分の感情を言葉にすることがあまりにも苦手で、やっているつもりで全然できていないのです。もちろん、相手に気を使って言えない人も大勢いる。
お腹が空いたとき、一緒にいる人に
「お腹空いたから一蘭のラーメンが食べたい」
これだと『要求』っぽくなりますよね。長女はラーメン食べたいが言えない。
でも「お腹空いた」くらいは言えるのではないでしょうか。
本当は「お腹空いたからご飯に行こう」くらい言ってほしいのですが、言えない人は「お腹空いた」だけでも自分にOKを出しましょう。リハビリですから。
これは、甘えでもなんでもありません。
眠かったら「眠い」
疲れたら「ちょっと疲れた」
トイレに行きたかったら「トイレ行きたい」
もう形容詞ですね。
青い空を見て「空が青い」くらい形容詞です。
思ったこと、感じたことを何のフィルターも通さずにそのまま口にする。できるだけ短い言葉で。
どうですか。
これでも「お腹空いたって言ったらご飯を要求しているのと一緒だよ!そんなの言えないよ!何食べたい?って聞かれるのも苦手なんだよ!」と言う長女もいるでしょう。実際、います。
それなら「うれしい」とか「たのしい」なら言える気がしませんか。
多くの長女は、お礼のために嬉しさや楽しさの感情を添えます。
「今日はたのしかったです。ありがとうございました」という具合です。
添え物としての「うれしい、たのしい」ではなく、単純に、その場の嬉しさや楽しさを「うれしい、たのしい」と声に出せるようになってほしいと思います。
「おなかすいた」とか「お腹が痛い」とか「会いたい」とか「さみしい」は前後の言葉やシチュエーションや捉え方によっては要求になっちゃうかもしれませんけど、「うれしい」「たのしい」は言えるんじゃないですかね。心に小さいドリカム、宿せませんかね。
ここまで読んで末っ子メンタルの人たちは「長女、どんだけ不器用なんだよ」と感じている人もいると思います。でも、これが現実なのです。あまり知られることない長女の内側なのです。
嬉しいとか、楽しいとかの表現のプロは犬だと思います。
犬の尻尾って、自分で意識して動かしてないんですよね。感情が出ちゃう。動いちゃう。そういうことなんだと思います。
犬は言葉を持たないから、尻尾で感情表現を行う。
僕たちは尻尾を持たないから、言葉で感情表現を行う。
なんだかすごくいいことを言ってしまった気がします。
長女、心に小さな犬を。あとドリカムも。
長女、がんばりましょう。
がんばり続ければ、必ず自然に感情を何のフィルターを通さずに言葉にできるようになるはずです。
がんばれるはずです。
なぜなら、我々長女はみんな努力は得意だから。
がんばることに対しては十分すぎる耐性があるから。
ありがとうございました
おしまい
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今回のブログもサロン限定ブログの「がんばれ長女」シリーズの一部を抜粋し、加筆修正しました。
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