呪われた名字の人生

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僕の名字は呪われています。って言うのは大袈裟かもしれませんが、佐藤さんとか鈴木さんとかに比べたら完全に呪われています。

 

ウイです。

これが名字なんです。宇宙の宇に、井戸の井で、宇井(ウイ)です。匿名ではなく、ずっと本名でSNSやブログを書いてきました。

匿名のような、珍しい苗字なのです。

 

 

英語の授業の「We」では視線が集まり、

国語の「初々しい」では失笑され、

任天堂が「Wii」を出してもいじられ、

「やっぱり好きなお酒はウイスキー?」というしょうもない質問に「ウイ好きですもんね!」と返すくだりは1000回くらいやったし、

フランス人には「名字がouiってまじ?」と笑われます。

富山の方言で「うい」=「しんどい」

岐阜の方言で「うい」=「気の毒」

滋賀の方言で「うい」=「申し訳ない」

散々じゃないですか?

 

電話で「ウイと申します。いえ、ウ、イ、です。宇宙の宇に、井戸の井で、宇井です」というセリフは1万回言ってきました。

親族以外の宇井さんに会ったことは36年間で2回。

「一族よ…こんなところで会えるなんて…」と抱きしめたくなります。

 

ここまではいいんです。

問題はここから。

結婚すると名字が変わる問題です。僕は男なので女性に僕の名字を名乗っていただくことが一般的には多い立場です。

そうすると、この宇井と名字は呪われていることが分かります。

 

例えば、愛し愛された人の名前がアイちゃんだとします。

どうなるでしょう。

 

「ういあい」

母音っ!ってなるんですよ。

ローマ字だと

「UIAI」

四文字!

  

ユウちゃんだとどうなるでしょう。

「ういゆう」

発音がいまいちなWii U。任天堂ですね。

 

最近お仕事で知り合った方の下のお名前が「憂依」と書いて「ウイ」でした。

「ういうい」

もはや目も当てられない。名刺交換の時に二人で笑ってしまいました。

最近は番号での呼び出しになっていますが、一昔前の病院なら「ういういさん、ういういさん、お薬できました」ですからね。

 

具体例をいくつかあげましたが、もう全体的に二文字の名前の女性とは語呂の相性が良くないのです。

このブログを読んでいただいている方で二文字の方がいらっしゃたら「ウイ」に自分の名前を付けて声に出してみてください。違和感以上の「コレジャナイ感」があるはずです。

 

名字が和泉(いずみ)という友達の彼女が泉ちゃんで「もし結婚したらどうすんの?いずみいずみ?」の質問に「それな。お前の気持ちが痛いほどわかったよ」しか回答が得られないわけです。

 

みんなどうしてるんだろ。

名字って大事だよね。選べないけど、縛られているところあるよね。

レアになればなるほど不自由なとき、あんだぜ。という話でした。

 

ありがとうございました。

おしまい

 

お知らせ

 

【喫茶店、やってます】

朝日新聞「A-port」 ウイのオンラインサロン

 https://a-port.asahi.com/salon/cream-soda/

 

【3月に書籍出ております】

重版ありがとうございました。 

 

 朝日新聞様の好書好日、telling、マイナビ様、Dybe!様などでコラムを書いたり対談したり取材いただいております。最近のやつのURL貼らせていただきます。

https://woman.mynavi.jp/profile/190510/

https://telling.asahi.com/article/12414137

https://book.asahi.com/writer/11002550

https://ten-navi.com/dybe/5524/

 

他人との距離感がバグっている人が苦手

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昨日の夜のできごとです

 

終電間際の駅構内。

大きなバックパックを背負った外国人のカップルから乗換について英語で質問されました。

 

英語、苦手です。

でも、僕が仕事や旅行で海外に行ったとき、何度も現地の人が助けてくれました。特に空港でのトランジットでは何度も何度も助けられました。これは「自分、恩返ししときや」と神が僕のために用意したステージなのです。

英語の知識を総動員して乗り換えを説明し、ちゃんと理解してもらえました。

乗り換えまで少し時間があったので、立ち話ですが世間話も少し。

カップルはカナダから旅行に来ていること、温泉が大好きなこと、日本食は調理方法が多彩でワンダフル、盛り付けもビィーティフルなこと、特に飛騨で食べたビーフはエクセレントだったこと、コメダ珈琲のメロンソーダはファニーなことを教えてくれました。僕もカップルの男性がキアヌ・リーブス(カナダ出身)に似ていることを伝えてお別れをしました。彼氏、体重100キロくらいあるスキンヘッドなので、全然似てないんですけどね。ファニージョークと褒められました。

 

つたない英語ですが、理解してもらえた。よかった。

迫る東京オリンピックに向けて、貢献できた気分です。

何よりも、僕が受けてきた数々の恩のひとつを、返せました。

 

(神様、ありがとうやで……)

 

心の中で神にお礼を伝えたときです。

 

 

 

 

 

 

 

「グッジョーーーーーーブ!!!」

 

知らないおじさんが、まあまあのボリュームで僕に言うのです。

しかも、僕の肩をバンバンと叩きながら。

たぶん、50代くらいのおじさんだったんですけどね。

めちゃくちゃビックリしたんですよ。

 

いや、ずっと視界には入ってたんですよ。

カップルに乗り換えを説明している時から。

視界の端っこに、なんか立ってる人いるなぁ、こっち見てる人いるなぁとは、思ってたんですよ。

 

なんなん?

もう、苦手なんですよ。他人との距離感がバグっている人。

僕の中の「苦手な人」は「横柄な態度をとる人」「お金の扱いが雑な人」そして「他人との距離感がおかしい人」です。

コンビニとかで「Tポイントカード?ないよ」とかタメ語で言って、お金投げるように支払いする人とか最悪です。

 

松屋でカレー食べてるときに、店内めちゃくちゃ空いているのに僕の隣に座ってくる人とかも苦手なんですよね。もちろん、座っちゃいけないってこと無いんですけどね、そのあとずっとモヤモヤが残るんですよ。

(なんで…隣に?)って。

いつまでもモヤモヤが残るのが嫌で、聞きますもん。

「あの…すいません…いや、いいんですけど、こんだけ空いてる店内で、なんで隣に座りました?」って。

その時は聞いても ニコっとされただけで、モヤモヤ残ったままだったんですけどね。笑顔と食べるカレーおいしいから良しとしたんですよ。

 

おじさん、僕に「グッジョブ」とだけ伝えると去っていったんですけどね、もう、ずっとおじさんに叩かれた肩が違和感を持っているんですよ。

これっぽっちも痛くないんですけど、シャワーを浴びても取れない何かがベチャーーーーっとへばりついてるんですよ。おじさんの手の形をした、スライムのような何かが、少しずつ僕の身体に侵食してくるような恐怖があるんですよ。

 

そんで、何がくやしいって。

 

おじさんに「グッジョブ!」って肩をバンバンされたあとに

 

 

僕、おじさんに

 

 

 

 

 

「oh!Thank you!」

 

って答えたんですよ。思わず。

まあまあ大声で言ったんですよ。

 

しかも、めちゃくちゃいい発音ができちゃったんですよ。

発音記号「θǽŋk jù」の通りに発音できたんですよ。

「セェンキゥ」と言うよりは「タンキュゥ」寄りの、めちゃくちゃネイティブなやつ出たんですよ。

なんなら帰り道、とぼとぼ歩きながら(さっきの発音、もう一回できるかな…)って何回か(テンキュー……ちがうな……タァンキュ……タンキュゥ……)って小声で言いましたもん。

 

 

帰ってから調べたのですがパーソナルスペースには4つの分類があるそうです。(1966年、アメリカの学者さんが定義した分類です)

①密接距離 0~45cm

すぐに抱き合える距離。めちゃくちゃ親しい人のみが許される距離。家族や恋人とか。

攻撃できる距離だからこそ知らない人には踏み込んでほしくない距離。殴り合い直前のヤンキーのメンチの切り合いが行われる距離。

②個体距離 45~120cm

相手の表情がよく読み取れて、互いが手を伸ばせば届く距離。他人がこの距離にいると嫌悪感とまではいかないが警戒する距離。

③社会距離 120cm~350cm

攻撃されても避けれる距離。手は届かないけど会話はできる距離。他人でも警戒が解ける距離。商談するときの距離。

④公共距離 350cm以上

複数の相手が見渡せる距離。まさに他人との距離。

 

おじさんは、無防備な僕にいきなり密接距離で接してきました。この定義を見ると僕の抱いた嫌悪感はまちがっていなかったのかなと思います。

でも、めちゃくちゃ考えたのですが、誰も悪くない。考えれば考えれるほど、誰も悪くありません。こんなパーソナルスペースの話なんて一般論です。おじさんは、僕を称えた。称えるために、肩を叩いた。それは、僕の勝手な想像ですが、おじさんなりの称え方。そして僕は、それに応えた。おじさんも、僕も、悪くない。他人との距離感に正解なんてありません。

だって、肩を叩いてグッジョブと言われたのが長澤まさみだったら僕はだらしない顔で「センキュー!」ではなく「ラビュー!」と言っていたのかもしれません。そういえば、初対面であいさつ代わりにハグしてくる友人(帰国子女・美人)にはまったく嫌悪感を抱きませんでした。

もしかしたら「自分の好み」という判断基準で「こうするべき」という自分だけの正義を振りかざす方が、他人との距離感がバグっているのかもしれません。

 

誰も悪くないからこそ、この肩にへばりついたままの違和感を、僕は剥がせずにこの文章を書いています。

 

 

ありがとうございました

おしまい

 

【お知らせ】

喫茶店、やってます お気軽にどうぞ。

朝日新聞「A-port」 ウイのオンラインサロン

 https://a-port.asahi.com/salon/cream-soda/

本が出ました。発売から10日で重版も決定しました。ありがとうございました。

 

嵐の櫻井くんと同い年です

この間、警察密着24時みたいな番組を見ていたら、男(33歳会社員)が覚せい剤所持で現行犯逮捕されていました。男は一見普通のサラリーマンで、飲酒運転の検問で引っかかった際にあまりにも挙動不審で、警察が車内を調べたところ覚せい剤が発見されました。

 

逮捕された男は「上司や取引先のストレスに耐えかねて覚せい剤に逃げた」という供述をしたそうです。

 

泣きそうになりました。

 

また別の日、夕方のニュースで下着を盗んだ容疑で男(33歳無職)が逮捕されていました。

犯人の男は刑事に左右を固められ、手元は隠されていましたが恐らく冷たい手錠をかけられ、パーカーで顔を隠し、背中を丸めてパトカーに乗せられていました。

 

 

泣きそうになりました。

 

今週、ミュージックステーションの10時間生放送というテレビをなんとなく見ていたら、嵐の櫻井くんや相葉くん(ともに33歳)が歌って踊っていました。

 

泣きそうになりました。

 

逮捕者の2人が、嵐の2人が僕と同い年だったからです。f:id:ui0723:20150926214527j:plain

もちろん僕と彼らは面識はありません。しかし、彼らは僕と同じ年月を、場所は違えど生きてきたわけです。

ファミコンを買ってもらったり、サリン事件があったり、たまごっちがブームになったり、エアマックスを狩ったり狩られたり。

PHSや携帯電話の普及、同級生の履くルーズソックス。キムタクやビーチボーイズの反町に、竹野内に、IWGPの窪塚や長瀬に憧れて、アムラーに恋したりふられたり。

 

そんな同じ時代を過ごした仲間が、同い年の同姓が、覚せい剤や下着泥棒で逮捕されて「生きるのがしんどい」と供述して、僕は「そうだよな、しんどいよな。ずっとしんどいよな」と悲しいような情けないような気持ちでいっぱいになったのです。

一方、テレビでは同い年が「嵐~♪嵐~♪」と歌って踊っているんです。

 

僕達1980年代の前半に生まれた人たちは「キレる17歳」や「理由なき犯罪世代」と言われました。今から15年くらい前、僕らが高校生だったときに、教師や両親や友達を突然バットやカッターで殺すという事件が立て続けに起こったからです。

最近また何かと世間を騒がせている酒鬼薔薇聖斗をはじめ、秋葉原の通り魔殺人、西鉄バスジャック事件、岡山金属バット事件、取手通り魔事件、遠隔操作ウイルス事件。

 

すべての犯人が僕と同い年です。他にも沢山の有名な事件の犯人が1982年生まれです。

 

犯人の気持ちが分かる、と言えばウソになります。

 

ただ、僕達はバブル崩壊から始まった「失われた10年」という日本経済史上最悪の時に小学生、中学生を過ごしました。中学では「いじめ」が大きな問題となり、高校では全国的に暴行事件が多発、大学は過去最悪の就職氷河期でした。

 

小さい頃、たくさんの大人たち(バブル期を過ごした大人たち)から「大人になったら楽しいことがたくさんある」と言われ、それ信じていました。ただ、大きくなるにつれ、誰もそれを言わなくなりました。言ってくれなくなりました。

 

僕達、現在アラサー世代は、多感な時期にたくさんのことに裏切られてきた世代であることは間違いありません。

 

別に下着泥棒や酒鬼薔薇聖斗を擁護しているのではありません。逆です。悲しいのです。辛いのです。

 

同じ年に生まれ、ある人はテレビで歌って踊り、ある人は覚せい剤に手を出す。

 

昔は何とも思わなかったのに、最近同い年の人が頑張ってたり、逆に逮捕されると悲しくなります。

 

とにかく悲しいのです。

 

でも、僕は知っています。

こうやって同い年に感情的になるのは、自身の老けが原因であることを知っています。

昔は同い年に対してライバル心があったのですが、いつのまにかそれは薄れていました。

もういいんです。同い年のスポーツ選手はほとんどベテランの域で、引退する選手も大勢います。結婚して、離婚する人も大勢います。

何かよく分からないのですが同い年に対して抱く感情が明らかに変化しました。

充分がんばったんです。

色々な物に裏切られ、理由無き犯罪世代と呼ばれ、それでも30歳を過ぎて、これからさらに不安な時代に突入するのに、まだまだ第一線で働いて、これから多くの人は結婚したり子育てしたりするんです。

 

だから、もっとみんな同い年で色々協力すればいいのに。

 

離婚してシングルマザーだって、6歳の子供がいても大丈夫。同い年だし、きっと僕たちはうまくやっていける。そんな気がするんだ、と、今日の真木よう子さん(同い年)離婚のニュースを見て考えた、という話でした。

 

※でも、まだまだ幼稚だなと思うこともあります。聴けないのです。年下の人の歌を。

どんなにいい歌と言われても(ふーん、んで、ボーカル何歳?)ってなっちゃうんです。

 

最後脱線しましたが、同年代の活躍や失敗を受け入れることに成功したアラサーのみなさん、アラフォーのみなさん、それ以上の世代のみなさん、一所懸命生きましょう。

 

若い子はもっと同じ世代で切磋琢磨してください。

 

ありがとうございました

 

おしまい