他人との距離感がバグっている人が苦手

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昨日の夜のできごとです

 

終電間際の駅構内。

大きなバックパックを背負った外国人のカップルから乗換について英語で質問されました。

 

英語、苦手です。

でも、僕が仕事や旅行で海外に行ったとき、何度も現地の人が助けてくれました。特に空港でのトランジットでは何度も何度も助けられました。これは「自分、恩返ししときや」と神が僕のために用意したステージなのです。

英語の知識を総動員して乗り換えを説明し、ちゃんと理解してもらえました。

乗り換えまで少し時間があったので、立ち話ですが世間話も少し。

カップルはカナダから旅行に来ていること、温泉が大好きなこと、日本食は調理方法が多彩でワンダフル、盛り付けもビィーティフルなこと、特に飛騨で食べたビーフはエクセレントだったこと、コメダ珈琲のメロンソーダはファニーなことを教えてくれました。僕もカップルの男性がキアヌ・リーブス(カナダ出身)に似ていることを伝えてお別れをしました。彼氏、体重100キロくらいあるスキンヘッドなので、全然似てないんですけどね。ファニージョークと褒められました。

 

つたない英語ですが、理解してもらえた。よかった。

迫る東京オリンピックに向けて、貢献できた気分です。

何よりも、僕が受けてきた数々の恩のひとつを、返せました。

 

(神様、ありがとうやで……)

 

心の中で神にお礼を伝えたときです。

 

 

 

 

 

 

 

「グッジョーーーーーーブ!!!」

 

知らないおじさんが、まあまあのボリュームで僕に言うのです。

しかも、僕の肩をバンバンと叩きながら。

たぶん、50代くらいのおじさんだったんですけどね。

めちゃくちゃビックリしたんですよ。

 

いや、ずっと視界には入ってたんですよ。

カップルに乗り換えを説明している時から。

視界の端っこに、なんか立ってる人いるなぁ、こっち見てる人いるなぁとは、思ってたんですよ。

 

なんなん?

もう、苦手なんですよ。他人との距離感がバグっている人。

僕の中の「苦手な人」は「横柄な態度をとる人」「お金の扱いが雑な人」そして「他人との距離感がおかしい人」です。

コンビニとかで「Tポイントカード?ないよ」とかタメ語で言って、お金投げるように支払いする人とか最悪です。

 

松屋でカレー食べてるときに、店内めちゃくちゃ空いているのに僕の隣に座ってくる人とかも苦手なんですよね。もちろん、座っちゃいけないってこと無いんですけどね、そのあとずっとモヤモヤが残るんですよ。

(なんで…隣に?)って。

いつまでもモヤモヤが残るのが嫌で、聞きますもん。

「あの…すいません…いや、いいんですけど、こんだけ空いてる店内で、なんで隣に座りました?」って。

その時は聞いても ニコっとされただけで、モヤモヤ残ったままだったんですけどね。笑顔と食べるカレーおいしいから良しとしたんですよ。

 

おじさん、僕に「グッジョブ」とだけ伝えると去っていったんですけどね、もう、ずっとおじさんに叩かれた肩が違和感を持っているんですよ。

これっぽっちも痛くないんですけど、シャワーを浴びても取れない何かがベチャーーーーっとへばりついてるんですよ。おじさんの手の形をした、スライムのような何かが、少しずつ僕の身体に侵食してくるような恐怖があるんですよ。

 

そんで、何がくやしいって。

 

おじさんに「グッジョブ!」って肩をバンバンされたあとに

 

 

僕、おじさんに

 

 

 

 

 

「oh!Thank you!」

 

って答えたんですよ。思わず。

まあまあ大声で言ったんですよ。

 

しかも、めちゃくちゃいい発音ができちゃったんですよ。

発音記号「θǽŋk jù」の通りに発音できたんですよ。

「セェンキゥ」と言うよりは「タンキュゥ」寄りの、めちゃくちゃネイティブなやつ出たんですよ。

なんなら帰り道、とぼとぼ歩きながら(さっきの発音、もう一回できるかな…)って何回か(テンキュー……ちがうな……タァンキュ……タンキュゥ……)って小声で言いましたもん。

 

 

帰ってから調べたのですがパーソナルスペースには4つの分類があるそうです。(1966年、アメリカの学者さんが定義した分類です)

①密接距離 0~45cm

すぐに抱き合える距離。めちゃくちゃ親しい人のみが許される距離。家族や恋人とか。

攻撃できる距離だからこそ知らない人には踏み込んでほしくない距離。殴り合い直前のヤンキーのメンチの切り合いが行われる距離。

②個体距離 45~120cm

相手の表情がよく読み取れて、互いが手を伸ばせば届く距離。他人がこの距離にいると嫌悪感とまではいかないが警戒する距離。

③社会距離 120cm~350cm

攻撃されても避けれる距離。手は届かないけど会話はできる距離。他人でも警戒が解ける距離。商談するときの距離。

④公共距離 350cm以上

複数の相手が見渡せる距離。まさに他人との距離。

 

おじさんは、無防備な僕にいきなり密接距離で接してきました。この定義を見ると僕の抱いた嫌悪感はまちがっていなかったのかなと思います。

でも、めちゃくちゃ考えたのですが、誰も悪くない。考えれば考えれるほど、誰も悪くありません。こんなパーソナルスペースの話なんて一般論です。おじさんは、僕を称えた。称えるために、肩を叩いた。それは、僕の勝手な想像ですが、おじさんなりの称え方。そして僕は、それに応えた。おじさんも、僕も、悪くない。他人との距離感に正解なんてありません。

だって、肩を叩いてグッジョブと言われたのが長澤まさみだったら僕はだらしない顔で「センキュー!」ではなく「ラビュー!」と言っていたのかもしれません。そういえば、初対面であいさつ代わりにハグしてくる友人(帰国子女・美人)にはまったく嫌悪感を抱きませんでした。

もしかしたら「自分の好み」という判断基準で「こうするべき」という自分だけの正義を振りかざす方が、他人との距離感がバグっているのかもしれません。

 

誰も悪くないからこそ、この肩にへばりついたままの違和感を、僕は剥がせずにこの文章を書いています。

 

 

ありがとうございました

おしまい

 

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