どうしても、もう一度タバコを吸いたい

 

f:id:ui0723:20210213171121j:plain

ちょっとアバウトですが禁煙して10年以上経過しました。

途中、アイコスが出た時に電子タバコを吸っていた時期がありましたが、それも数か月でやめてしまいました。

紙巻きたばこをやめたきっかけですが「後に引けなくなった」というものでした。

当時、会社の喫煙所での何気ない会話。

「ニュースで見たんすけど、タバコまた値上げするらしいですよ。止めたらどうですか」

「そうしようかな~」

これで僕が禁煙宣言したということになり、その連絡が社内に広まってしまったのです。

 

1日2箱吸っていた日本有数のヘビースモーカーでしたが、引くに引けないのが男の性。

当時、僕が勤めていた会社は圧倒的に女性が多く、後輩や部下に対してかっこつけたかったという気持ちが勝り、気合と根性で止めてやりました。本当に、本当に辛かったです。

禁煙したらお金が貯まるとか、ご飯がおいしくなるとか言われていますが、お金は貯まらず、ご飯はいつだっておいしく、禁煙してから5キロ太り、それを戻すのも大変でした。とにかく、ご飯が終わらないのです。ついつい口が淋しくて何か放り込んでしまう。

そんな中、臭いに関してはタバコを止めてよかったと思いました。非喫煙者になってはじめて喫煙者にはタバコの臭いが身体にも持ち物にも染み込んでいることに気付くことができたのです。

 

ただ、タバコに関しては止めたくて止めたわけではないので、いつか喫煙者に戻ろうかなとも思っていたのです。

定期的にタバコの夢を見るし(今でも見ます)、禁煙歴40年の大先輩が「今でも夢に見るし、吸いたいと思うことが稀にある」と言っていたのを聞いたとき、完全に切り離すことができないものであることを知りました。

一度でも喫煙の習慣を得た者たちの脳は漬物ようになっていて、二度と生の野菜には戻れないのです。

僕は、それだったらタバコを吸う人生を選びたい。

僕は、本当は、タバコが大好きなのです。

でも臭いが気になる。


そこに出たのがアイコスです。

なんとタバコ特有の臭いがしないというではありませんか。試しに買って吸ってみると確かにタバコの臭いがありません。(その代わり独特の少し甘い香りがします)。タールやニコチンの感じ方は紙巻きタバコを吸っている感覚とは別物ですが、それもすぐに慣れました。

しかし、そのアイコスもすぐにやめてしまいました。

 

理由は二つ。

一つ目は「吸える場所がない」というものです。

この問題は深刻で、僕が非喫煙者になっている間、体感としては世界の喫煙所は10分の1くらいになったような気がします。

タバコが吸える場所を探してさまよう時間が本当に無駄に感じていました。

しかも、ようやく見つけた喫煙所は建物の裏手の雨ざらしの場所だったり、狭い空間にぎゅうぎゅうに押し込めらたりするのです。なんだか、申し訳ない顔して吸わないといけないような気になってしまう。

路地裏やコインパーキングの奥などでコソコソ吸っているサラリーマンを見ると「高校生かよ」と心の中でツッコまずにはいられません。

 

そして、それ以上に大きな理由は「かっこわるい」ということです。

元々、僕が18歳20歳で初めてタバコを吸ったのは、ロックスターや映画の俳優がかっこよくタバコを吸っていた姿に憧れたからです。

きっと多くの喫煙者のタバコを吸い始めたきかっけは、僕と同じ「憧れ」ではないでしょうか。

でも、電子タバコはとにかくカッコ悪いのです。

映画『スネーク・アイズ』のニコラス・ケイジ、『トレインスポッティング』のユアン・マクレガー、『ファイトクラブ』のブラッド・ピット

彼らがポケットの中でくしゃくしゃになった箱から取り出し、しかめっ面で火をつけ、満足そうに吸うのは紙巻きたばこであり、電子タバコではあってはいけないのです。

ニルヴァーナカート・コバーンルパン三世の次元だって紙巻きタバコを吸っているからかっこいいのであり、あれが電子タバコだったら「そんなもんやめちまえよ」と心の中で悪態をついてしまうのです。

みんなタバコのかっこいい持ち方や渋い火の点け方を研究したはずです。

タバコの銘柄だってそれを選んだストーリーがあったはずです。

それなのに、日陰の狭いところに押し込められ、ピカピカ光る棒を申し訳なさそうに吸っている。そんなの、少なくとも僕にとっては本来の目的ではないのです。

電子タバコを横目に、紙巻きたばこという文句なしでかっこいい道具がこのまま消えていくのはなんだか寂しいと感じます。


ということを喫煙者の友人に話したら「葉巻という手があるよ」と提案を受けました。

そうか、その手があったか。確かに葉巻は臭うものではなく香るもの。それに、何といっても抜群にかっこいい。

………いや、ダメだ。

葉巻を嗜むには肝心の本人のかっこよさが全然追いついてない。

もう数十年、非喫煙者を続けようと思います。

 

f:id:ui0723:20210213172625j:plain

クール

 

f:id:ui0723:20210213172648j:plain

世界一クール

f:id:ui0723:20191202161230j:plain

次元のタバコはいつだって曲がっている

あと、デザイン。
僕が吸っていたのはクールマイルドでした。DragonAshのKjが吸っていたクールがかっこよくて真似したのです。昔のデザインはこれ。

f:id:ui0723:20210213172912j:plain

懐かしい。クラシックで本当にCOOLなKOOL

 

f:id:ui0723:20210213172954j:plain

今、これらしいです。うーん。パッケージの半分に遠回しな「吸うな」って書かれていますね。

 

こんなにタバコが大好きなのに、もうしばらく非喫煙者でい続けようと思います。

 

 

ありがとうございました。

おしまい

 

 

書籍が発売されます。9割以上が書き下ろしです。

まえがきを無料公開しています

ui0723.hatenablog.com

 

200本以上の会員限定ブログ更新中。一か月だけでもどうぞ。

ui0723.hatenablog.com

 

 

 

嫌いな食べ物がないわけじゃないんだけど

「好きな食べ物・嫌いな食べ物」というテーマで話をする機会、人生で何回あるのでしょうか。100回や200回とかで全然足りない気がしませんか。

 

デート、友達との食事、仕事や趣味の人間関係や美容室に至るまで。

僕らは話題に困ったとき、多くの場合まずは天気の話をします。しかし、せいぜい3分くらいで話は尽き、その次に出身地の話、その次くらいに「好きな食べ物・嫌いな食べ物」の話をしているような気がします。

仕事や家族構成や恋人の有無などパーソナルな部分に触れにくくなった今、気軽に出せる話題が少なくなってしまいました。そんな中でも話題に出しやすいのが食べ物の話なのかもしれません。


好きな食べ物はたくさんあるので困りません。

僕はカレーと蕎麦が大好きです。他にもハムカツ、担々麺、固焼きそば、カキフライ、青椒肉絲バインミー、明太のり弁など次々に出てきますので、回答に困ることはまずありません。

実際、僕も会話に困っときは好きな食べ物を聞き、さらにそこから「好きなおにぎりの具、好きなおでん、好きな寿司ネタ」と話題を派生させていけば20~30分は話題に困ることはありません。

 

困るのは「嫌いな食べ物」です。

嫌いな食べ物を聞かれたとき、僕はいつも「ないです」というこれ以上話が広がらない返答をしてしまうのです。

実際、アレルギーもないし、味が苦手で食べられない料理はないと思っています。

しかし、本当はあるのです。

嫌いな「料理」です。しっかりとした、料理。

だいたいの人は好きな食べ物を問われればハンバーグや寿司や唐揚げなど料理名を挙げ、嫌いな料理を聞かれるとパクチーやセロリやレバーなど食材名で答えることが多いのですが、僕は嫌いな料理があるのです。

 

それは「煮こごり」です。

「煮こごり」と聞いてどれくらいの人が正確にビジュアルを思い浮かべることができるのか分かりませんが、「ゼラチン質の多い肉や魚の煮汁が冷えてゼリー状に固まる性質を利用して、一緒に煮込んだ食材ごと冷やし固め、直方体などに切りそろえた料理」のことです。

f:id:ui0723:20061002170448j:plain

こちらが煮こごり

f:id:ui0723:20210506181042p:plain

イラストだとこう。


食べようと思えば食べられるのですが、煮こごりにはどうも納得がいかないことが多すぎるのです。

まず、煮こごりは完成までに加熱したり型に入れて冷やし固めたりと手間が多いのです。自分で作るわけではないので別に問題ないのですが、かけた時間と手間の割にその食材達が劇的においしくなっているかと問われれば首を横に振らざるを得ません。

具材を切って煮込むだけの肉じゃがやカレーと比べると圧倒的なコスパの悪さが気になります。わざわざ煮こごりにする理由が見当たらないのです。

そして、「煮こごりにした方が圧倒的においしくなるよね!」という食材も皆無です。 

さらに、煮こごりは冷たい状態で食べなければいけないという縛りが発生します。温めるとゼラチン質が溶けてしまうからです。あまりにも不自由ですし、加熱した肉や魚はできれば熱々で食べたい。

プルプルとした食感、まるでレゴブロックのように切りそろえられた見た目も不自然です。

まだあります。煮こごりを名物にしているお店や、煮こごりが名物になっている県がなく、家庭料理としても定番とは言い難い存在です。聞いたことありますか? 「お母さんの料理で一番おいしいのは煮こごりです!」って。

つまり、手間はずいぶんかかるけど推せるほどの料理ではないことを意味しているのです。

たまたま発見された「ゼラチン質は固まる」という性質を確認し続けるためだけに存在しているとしか思えないのです。

ご飯のおかずとしては力不足、酒のあてにしても頼りない。客単価の高い店で先出しとして出てくる程度。

そんな煮こごりに対して僕はいつまでも納得できないままいるのです。

「明日、またここに来てください。本物の煮こごりってやつを食べさせてやりますよ」と言われれば喜んで訪問したい。きっと、僕は本当の煮こごりを知らない。


煮こごりについて話し過ぎました。

肝心なのことは僕が「嫌いな食べ物ありますか」の質問に煮こごりの名前を出して、なぜ嫌いなのかを分かりやすく説明をしたところで、めんどくさい奴と思われて終わりなのは火を見るよりも明らかということです。

「煮こごりの繊細な味が分からないなんて」と言われればぐうの音も出ず、舌が貧乏な自覚もあります。きっとしっかり調べれば煮こごりを名物をしている地域やお店もあるのでしょう。

しかし、めんどうな奴だと思われないように、コミュニケーションを円滑にするために小さな嘘を重ねることに本当は毎回なんだかなと思っているのです。

 

余談ですが、今回この話を書くにあたり、数年ぶりに煮こごりを食べてみようと思いました。

ある日突然、ビールやパクチーやセロリのおいしさを「理解」できたように、数年ぶりに食べたら煮こごりのことを「理解」できるかもしれません。

しかし、近所の和食店を調べて回ってみたのですが、探しても探しても煮こごりを出す店はありませんでした。

そればかりか、ある店で「煮こごりはないけど、温めていない豚の角煮ならあります。これ食べてみますか?」と提案されます。

違う、そうじゃない。

煮こごりのことがまた少し嫌いになったのでした。

 

なんか、ひさしぶりに更新したらずいぶんとブログらしいブログが書けた気がします。

 

以上

ありがとうございました。

おしまい

 

3冊目の書籍が発売されます。なんと9割以上が書き下ろしです。

下記にて『まえがき』公開中。

ui0723.hatenablog.com

 

非公開ブログがなんと200本以上あります。ひと月だけでもどうぞ。

ui0723.hatenablog.com

 

 

 

3冊目の書籍『38歳、男性、独身』販売されます

 

約3週間後の5月20日

3冊目となる書籍が販売されます。

その名も『38歳、男性、独身』です。

なんてストレートなタイトルなんでしょう。

f:id:ui0723:20210428193802j:plain

これまで出版させていただいた書籍は恋愛がらみのことでした。

今回はちょっと違います。

では、どんな本なのか。

それを知っていただきたく、今回は書籍の「まえがき」を無料公開します。 

 

---ここからまえがき公開---

 

みなさんは洗い物をしている時に、蛇口から流れる水がお玉に当たり、噴水のよう
に水が飛び散って、服や床が濡れてしまったらどうしますか。

僕は顔色一つ変えずに洗い物を続け、黙って床を拭き、乾いた服に着替えて終わりです。
ここで「見て見て〜。濡れちゃったよ〜」と眉毛を下げた情けない顔で濡れた服を披露し「あはは」と笑い合うことができる人が部屋にいたなら、日常の失敗は微笑ましい暮らしの1ページとして美しく昇華させることができるのでしょう。

しかし、悲しいかな38歳独身。

服を濡らそうが、咳せ きをしようが一人なのです。

 

18歳で始めた一人暮らしは、あっと言う間に20年が経過。

「一人暮らし」と表記するよりも「独り暮らし」と表記したほうがなんだかしっくりくるような気がします。

そしてその間、一度も結婚せずに今日まで健やかに過ごしてしまいました。

 

いい歳をして独身だと、「この人は何か問題があるのかな?」と思われてしまうのが世の常です。

若い頃は「そんなの被害妄想でしょ?」と甘く見積もっていたのですが、いざ自分がアラフォーの独身になってみると、決してそうではないことを知りました。いくら世間が晩婚化しているとは言え、マイノリティたる所以を人は知りたがるのです。

決して口に出すことはありませんが、巨額の借金があるとか、他人の気持ちに寄り添えないとか、異性に対してだらしないとか、理想が高すぎるとか、極度の潔癖症とか、満たされない性癖があるとか、人間として「欠点」とまで言わずとも「何かしら結婚できない要素」があるに違いないという目で見られてしまうことは確実にある。

 

そして、みんな言わないだけで、実は自分には人として大切な何かが欠落しているのではないかと不安になり、自分で自分の欠点を探し回ってしまう時だってあるのです。

 

果たして僕たち独身は難ありなのでしょうか。

そんなことないと思いませんか。

巨額の借金なんかしていないし、人に言えない変な趣味や、一生かけても満たされないような性癖もない。アイドルと結婚できると本気で信じてはいないし、SNSで他人を攻撃したりもしないし、世界の陰謀論を信じているわけでもない。ダイエットだってするし、体臭や身だしなみにだって気をつけている。

確かに小さな欠点はいくつかあれど、ポジティブに捉えれば個性と言えなくもないものばかり。致命的な欠点はきっと一つもないと思うのです。

 

僕たちはいつも目の前のことに一所懸命で、行儀よく、できるだけまじめに生きてきました。

早起きしたり終電を逃したり、人間関係に悩んだりしながら、就業規則を守り働いているのです。そうやって働いて稼いだお金で毎月税金や家賃や光熱費を払い、友達と飲みに行って、それなりに恋愛もしてきたのです。

そんなまじめな「普通の生活」の延長線上に、結婚とか子供とか旅行とかマイホームとか、子供の頃に提示されていたいわゆる「普通の幸せ」が存在すると思っていました。

でも、そうではありませんでした。

手元にあるのは、僕ならこの本で告白したような、傍はたから見れば実に淡々としているであろう独身の日々です。

それが僕たちの日常であり生活であり人生であります。

決して高望みしたつもりはないのに、おかしいな。


ちょっと愚痴っぽくなってしまいました。

そんなふうに一所懸命生きた結果、たまたま独身の僕たちですが、「不幸なのか?」と問われればきっぱりと首を横に振ります。僕たちは不幸なんかではありません。各々が誰にも見つからない場所に寂しさや不安を隠しながら、毎日楽しく生きているのです。きっと世間の皆様からも、僕たちは楽しそうに生きているように見えていると思います。

僕たちは何を食べるも、どこに行くも、全ての決定権が手中にあります。そんな生活、楽しくないわけがないのです。

時たま、どうしようもない不安から夜襲を受け、愛されたいと嘆く夜がありながらも、この自由と責任の狭はざ間ま で生きる独身の生活が楽しくてしょうがないのです。

 

この本は、どこにでもいる独身が、ただ独身として生きることについて書きました。

僕は、きっとあなたと同じような駅に住み、同じようなものを食べ、同じような間取りの部屋で暮らしています。

一生逃げ切るための資格やお金も持たず、孤独を抱えながらも、涼しい顔して電車に揺られて労働に勤い そしむ独身です。このまえがきも、代々木のドトールのカウンターの一番端で身を縮こまらせながら書いています。

そんな独身が書いた本ですので、きっとこの本を読んでも恋人はできないし、年収も上がらないし、意識は高くならないと思います。

でも、僕たちを取り巻く状況や、何となく感じている生きにくさや、足をすくってくる恐怖の正体、そしてなぜこんなにも独身生活が楽しいかについて、包み隠さず書きました。そこにはひょっとしたら、もう少し続くかもしれない独身生活が、今よりちょっと楽しくなるヒントもあるかもしれません。

 

それだけではありますが、独身仲間の話を聞くつもりでぜひお付き合いください。

 

ウイケンタ

 

 

---まえがきここまで---

 

30歳くらいまででしょうか。もう忘れましたが、僕は普通の生活を送っていれば普通に恋愛をして、普通に結婚するものだと思っていました。

新婚旅行に行き、マイカーとか、なんならマイホームなんか買っちゃって、授かれば子供がいて、犬や猫がいて、週末の外食や、年に数回の旅行や帰省がある。それが僕たちが「普通の幸せ」だと提示されていたものです。

でも、そうではありませんでした。

今、僕の生活にあるのは、一人で食べる夕食、シンクの洗い物、空のペットボトル、無くなりかけの洗剤、納税、家賃、光熱費、AmazonPrime、発泡酒ハイボール、趣味、恋愛、友達、仕事です。

何がどうなって現在に至るのか。正直に言えば、ちょっと心当たりはあるものの、心の中で叫んでしまうのは「思ってたんと違う!」というセリフであります。

では、どうすればいいのでしょうか。

初婚の平均年齢は右肩上がり。結婚しても3組中1組が離婚しています。実際、友達はバンバン結婚しているけど、離婚もしています。

 

そんな混沌とした令和の日本を生きる僕たち。

濁流のようなスピードで時間が過ぎる日々の中、どこに向かい、何を欲すればいいのか。

今、独身全員がその答え無き問題に自問自答しています。

僕もその一人です。

この本は、そんな独身の日々について、これまでのこと、そしてこれからのことについて書きました。

飾らず、盛らず、素直に書きました。

独身に悩んだり、独身を楽しむすべての大人に向けて書きました。

独身の友達の話を聞く感覚で読んでいただければ幸いです。

何卒よろしくお願い致します。

 

ありがとうございました。

おしまい

https://www.amazon.co.jp/dp/4046051108/