友達の作り方 ~男と女の間に友情は成立するのか~ 

 

「雲海、見たくない?」

 

金曜19時。

友人数人が集まるグループLINEに連絡が来て、すぐに「見たい」とだけ送ると数秒後に「21時名古屋駅集合できる?」の返信が。(今からかよ)と思いながらも予定が無い僕が「いける」と送ると、別の友人達が

「21時30分なら大丈夫」

「冬は見れないよ」

「車だよね?酒入ってるから運転無理だけど、それでよければ行く」

「出張で東京にいるから関東方面にしない?静岡あたりで拾ってよ」

などの返信が。

 

金曜の夜に予定の無い29~37歳の男女(しかも全員独身)が6人も集まってしまいました。暇かよ。金曜の夜に誘って2時間後には集合できる。こういう所が良くない。デートとかすればいいのに。

仕事終わりのメンバーが多かったのでみんなスーツやオフィスカジュアルの恰好です。今から雲海を見に行く恰好ではありません。

「長野には自然現象のすべてがある」と根拠なき信頼を長野に寄せて8人乗りのワゴンを東へ走らせます。この時点で明確な目的は決まっておらず、車内で「登山ルートは革靴やパンプスじゃ登れない」「ドンキでダサい防寒具買いたい」などスマホ片手にプランを立てます。

サービスエリアで好きな物を食べ、車内では仕事の愚痴や恋愛の話をしたり、全然似てないモノマネで盛り上がります。音楽をかけ、QUEENでは大合唱です。「ママ~ウ~ウ~ウ~‼アーイドワナダーーーイ‼」歌詞が分からない部分はなんとなく歌います。

 

結局、条件が合わず雲海は見れなかったのですが、代わりに夜明けの湖から大量の湯気がもくもくと上がる蒸気霧という現象を見ました。

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雲海よりは劣りますが、まるで世界が終わってしまったような静寂の中、朝日の高さと共に紺色、紫、青、白へと徐々に色を変える湯気は非常に幻想的でした。

 

帰りは朝市で朝ご飯を食べて、富士山が見える温泉に入り、昼寝をして、さわやかのハンバーグを食べ、夕日を見ながら名古屋へと帰ります。

雲海を見れなかったのは残念ですが、いいんです。まちがいなく誰かが言い出すから。「雲海、リベンジ」と。

それに、いつも目的地までの道のりと帰路が最高に楽しいんです。

友達と遊びに行く度に考えます。「あと何回こんなことできるのかな」と。年齢を重ねると友達の人数と会う回数は減っていきます。仕事や結婚や出産などのライフイベントによって生きるステージが代わり、優先順位も変わるので当然のことです。

そして、いつしか友達との「遊ぶ」は「飲みに行く」という意味になり、行動範囲はどんどん狭くなります。中学や高校の頃の「チャリできた」みたいなテンションは失われ、深夜に学校のプールに忍び込んだり、一晩中ゲームするような友人は減っていくのです。それが大人になるということかもしれません。

 

この先、僕に恋人ができたら言いたい。週末の夜に突然「流星群来てるらしいけど、今から見に行く?」とか。何も質問もせずに「行く‼」って即答してくれたら最高。防寒具やブランケット、懐中電灯や熱々のコーヒーを入れたタンブラーを車に積んで、二人が好きな音楽をかけた車で、夜の高速道路を運転したい。

 

長い前置きで、しかも最後ちょっと脱線しましたが、ここからが本題です。

今回は「異性の友達のつくりかた」について書きたいと思います。友達が多い人からしたら「え?そんなこと?当たり前じゃん」と感じることでもあります。

そして、これは「男女間で友情は成立するのか」という長年色々なところで議論されてきた問題の一つの答えなのです。

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まずは「わしには、異性の友達がおらんのじゃ」という方のために友達の作り方です。

 

異性の友達が欲しい時、はじめに大事なことは「友達にルックスやスタイルを求めてはいけない」ということです。特に男性はここを求めます。恋人を作るのと、友達を作るのは全く別の行為です。分かっている人にとっては(え?そんなこと?)と感じるでしょうが、ここを勘違いしている人がめちゃくちゃいます。

 

異性の友達ができないと嘆く多くの男女は全ての出会いに「あわよくば恋人に」を求めています。「かわいい子と友達になりたい」「友達でもかっこいい人が良い」という感情は恋愛体質であり、友達がいない一番の原因なのです。ここの意識を変えない限り、出会いがあっても(恋人としてはNGだな)という判断になった途端、知り合いにはなれても、友達にはなれません。友達としては最高な人が大勢いたはずなのに。

借金が300万円あったら、恋人としてはNGかもしれませんが、めちゃくちゃ面白い話を持っている可能性があります。友達としては最高です。

体重が120キロあったら、恋人としてはNGかもしれませんが、めちゃくちゃおいしい店をたくさん知っているかもしれません。友達としては最高です。

 

いいんです。友達として付き合っていたら恋が芽生えたら。それはめちゃくちゃハッピーなことです。

大事なのは順番です。

恋人候補から友達に格下げした関係はうまくいかないことが多いですが、友達関係の付き合いを経て、なんだかんだあって恋人になった関係には未来があります。似ているようで、まったく違うのです。

そのためにまずは自分が「本当に友達が欲しい」のか「恋人候補になり得る友達が欲しいのか」自問自答してください。後者の場合は、本当に欲しているのは友人ではなく、恋人です。

 

友達になれそうな人と出会ったら、声に出して、言ってください。

「友達になろうよ」と。明確に、声に、出して、伝えるのです。

子供たちが当たり前のようにやっていて、僕たち大人がやってないこと。「声に出して言う」ということです。もう十数年使っていないセリフを大人が声に出して言う。ちょっと照れ臭いかもしれませんが、言うか言わないかでは全然ちがいます。

 

男性は、その子が本当に友達なら気まぐれな性欲で抱こうとしてはいけません。抱こうとする素振りも見せていけません。不安を与えてはいけません。女性が不安感じた時点で友達ではいられません。

 

SNSも使ってください。僕にもSNSを通じて友達になった人がいます。会う前からお互いの思考や価値観がある程度理解でているので、会ってから仲良くなるまでのスピードが速いです。

ここでも明確に言うのです。「友達になりたい」と。「会いたい」じゃだめです。目的が「友達になる」ではなく「会う」になります。そして、鍵垢はダメです。鍵垢の人から「友達になりたい」と言われも閉ざされた塀の向こう側から「オレ、オマエ、トモダチ、ナリタイ」と書かれた紙飛行機が飛んできたような気になります。(え…やだ……突然、何…?)です。SNSで友達を作るにはしっかり普段の考えや趣味や好きな物を開示して、できれば相互フォローになって、共通点や可能性を探れるようにしてください。

 

友達の友達と友達になってください。友人に「友達がほしい」と明確に伝えるのです。ここでも、声に出して伝えてください。

紹介する立場からしたら、友達から言われる「彼氏欲しいんだけど、誰かいい人紹介してよ」に比べたら「友達欲しいんだけど、誰かいい人紹介してよ」のハードルなんかめちゃくちゃ低いのです。恋人候補だとこっちもあれこれ考えてしまいますが、友達だったらすぐご用意できます。

 

紹介してもらった友達がめちゃくちゃアクティブで、友達が多い人なら、チャンスタイムです。そこから一気に友達が増えるからです。仲良くなれば、お花見、ドライブ、バーベキューなどに誘われるはずです。「友達4人といちご狩り行くんだけど、一緒に行く?」と。ここで複数の初対面の人がいることを億劫に感じ「パス」しないでください。これまでしてきた多くの「パス」が友達がいない原因です。安心してください。友達に友達を紹介するのはハードル低いですが、お互いの顔をつぶさないように最低限のハードルがあります。

 

そして、そうやって出会った友達は大切にしてください。

おすすめの映画や音楽を教えあってください。

旅行に行ったらおみやげを買ってください。

大きな地震や自然災害があったら「大丈夫?」の連絡をしてください。

ささやかでもいいから、誕生日をお祝いしてください。

恋人ができたときには手放しで喜んでください。

突然「雲海見たくない?」と連絡してくだい。

してあげたいことを、自分からしてあげてください。

したくないことがあったらしないでください。

その代わり、自分がしたいことは「自分がしたかったから」ということを絶対に忘れないでください。

そして、こんだけやっても異性の友達はなかなかできません。

 

ここからはこれまで書いてきた内容と相反するテーマになりかねない問題、男女間の友情は成立するのか?です。

 

僕の持論は「男女の友情は成立する」です。

 

ただし、成立には「条件」が必要なのです。特に男性側は条件を持っています。ここを、めちゃくちゃ正直に書きます。まず、この問題には男女差があります。

Twitterのアンケート結果です。

女性の多くは「友情は成立する」と感じているのに対し、男性は「成立しない」と「成立する」がそんなに大差ありません。この正体を突き止めます。

 

先ほど「友達になろう」と声に出して言いましょう、と書きましたが「私とあなたは友達です。絶対に恋愛感情を挟まず、死が二人を分かつまで友達付き合いをしてください」というスタートができないのが異性の友達。なぜなら、男と女だからです。子孫繁栄の本能が「友達」のバランスを崩そうとするのです。 

 

女性が言う「友達と思っていた人に言い寄られて幻滅した」を無くすための最も的確な手段。それは「私とはセックスできません。あしからず」なのです。

さかりのついた男子を「そこにじっと座ってろ」と、お座りさせるのです。

 

「いきなりセックスの話ですか。男性諸君、あなた方は猿ですか?覚えたての高校生ですか?」と言われそうですが、唯一無二の真実がここにはあります。多くの男性にとって友情が成立するか否かの判断基準は「セックスの対象か否か」なのです。これは気まぐれな性欲の場合と、本能の場合があります。前者は論外ですが、後者は子孫繁栄の本能が判断基準になっているのです。

では、どうすれば愚かな男性をお座りさせることができるのでしょうか。

  • ルックスやスタイルや性格をストライクゾーンから外す(これが一番確実なんですけど、物理的に無理があります)
  • 友達の恋人、既婚者などアプローチするには道徳的に反する存在になる(これも物理的に無理がある。そして、ミスターチルドレンの桜井さんが名曲「Tomorrow never knows」で歌ったように「何もかも欲しがっていた。分かり合えた友の愛した人でさえも」と垣根をヒョイッと越えてくる輩もいる)
  • 熱烈な片思いをしている、日本人男性は愛せない等、自分の恋愛観を公表すして、つけ入る隙が無いことをアピールする。「いいか?坊主、聞け。私は、あなたと、恋は、しない。しないんだ。わかるな?恋は、しない。絶対だ」と相手が恋のステージに上がってくる前に失恋させる。(これが一番現実的)

 

男女間に友情を成立させるために大事なことは「我々の間に愛情は芽生えませんよ」という明確な意思表示をすることなのです。そのことを互いが認識してから、ようやくスタートラインに立てます。

「相手が恋心抱かない様にするって、その時点で友情成立してないじゃん。はい論破」という意見もありますが、その通りです。だからこの問題はなかなか決着がつかないのです。

 

友達のふりして密かに全ての可能性を見逃さないように狙っている人

「セックス?したよ?でも友達。全然友達」という人

「このグループは友達だから!絶対に恋愛に発展しない!ダメ!絶対!」と目を光らせる人

様々な人がいます。ここに善も悪もありません。

いびつな形をした、それぞれが持つ価値観。それを合わせるのなんて、同性でも難しいのに、異性だともっと難しい。

 

だからこそ、男女間で友情が成立した時にはかけがえの無い友人になります。

僕は36歳現在。気軽に遊びに行ける友達はたくさんいますが、正直に本当に心の底から「女友達」と言えるのは3人しかいません。恋愛感情は生まれず、気まぐれな性欲も沸かない。助けてと言われればすっ飛んで行き、お金に困るようなことがあれば、何も聞かずお金を出せます。36年間生きてきて、たった3人です。

本当に心の底から友達と呼べる異性は簡単にはできない。まずはたくさん出会って、その中から互いのリスペクトを積み重ね、膨大な時間と感情と情報を共有した結果、ようやく成立するのです。成立するのは10人に1人。100人に1人かもしれません。もしかしたら、僕の36年間で3人と言うのは幸福なのかもしれません。

それくらい、異性の友達は尊い。

 

 

これからも「男女間に友情は成立するのか?」には胸張って「成立する」と言い続けます。

 

 

でも「男女間に友情は成立する」と言ってるほど恋人いない歴が長いという特徴がありますのでご注意ください。

 

 

以上!解散! 

ありがとうございました!

おしまい!

 

【お知らせ】

3月15日に書籍「ハッピーエンドを前提として」が発売されます。ブログの記事で反響が大きかったものを大幅に加筆修正して、さらに大量の書き下ろしを加えました。今回公開したブログは書籍からボツになった原稿をブログ用に編集して掲載しています。

ボツ理由:これは、そもそも恋愛のハウツーじゃない。最後の2行だけじゃないですか、ハウツー。それに、あれほどJ-POPの歌詞は著作権で引っかかるから使っちゃダメですよって言ったじゃないですか。あと、話が長い。以上!解散!(編集者!)