独身に問う「今、幸せですか?」

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質問です。

「今、幸せですか?」と問われたらなんと答えますか。

胸を張って「幸せです」と答える人もいれば、「不幸です」と答えてしまう人もいるでしょう。「不幸ではないけど、まあ、でも、幸せなのかな」とかモゴモゴしてしまう人もいると思います。

 

こちらの表をご覧ください。

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ちょっと画像が暗く、さらにブレていてすいません

荒川和久さんの書籍『一人で生きるが当たり前になる社会』より引用させていただいた、独身者と既婚者の年代別の「幸福度」です。

この表を見ると、全ての年代において既婚者の半数以上は男女ともに「今、幸せですか?」という問いに対して「幸せです」と回答していることが分かります。

既婚の20代女性に関しては77%、既婚の30代女性に関しては75%という驚異的な割合が「幸せです」と回答していますね。すごい。その昔、「女の幸せは結婚である」という今では問題視されてしまうような言葉がありましたが、このデータだけ見ると「結婚は幸福を感じる大きなツールである」という証明はできてしまいます。

 

一方、未婚者は既婚者と比較するとよりも各年代20~30%の割合で「幸せです」という回答をする人が減っている。こんなに違うの?!と驚いてしまいます。

 

この原因は単純に「配偶者がいる、共同生活を送っている、(中には)子供がいて成長に一喜一憂している。親も安心して喜んでいる」という「幸せという言葉に寄り添いやすいアイコニックなもの」があるのは大きいですよね。

既婚者の友人と話をしていると、みんな大変そうだけど、なんだかんだ幸せそうです。夫や妻や父や母という今までとは違った責任ある役割を果たすわけですからね。夫や妻や子供と暮らす日々は一人で生活するよりも喜びを分かち合う機会が多いのはまちがいありません。

そして、多くの独身はそのことを知っている。

独身の方が幸福度が低いのは「結婚したら今よりも幸せな日々になる可能性があるに違いない」という期待も出ていると思います。

バツイチ勢もそうですよね。

結婚なんか二度とごめんだぜという人もいれば、離婚しちゃったけど結婚生活は楽しかったからまたしたいという人も多い。だから「今、幸せですか」に声を大にして「はい」が言えない人がいるはず。

 

つまり、独身のほうが幸福度が低いのはいたって健全なのです。何の問題もありません。

これが独身の方が幸福度が高くなってしまったら「結婚には希望が無い」ということを意味してしまうのですから。

僕だって「今、幸せですか」と問われると「不幸ではないですけど、どうですかね。まあ幸せですけど、充分ではないですよね」と答えてしまう。それは、結婚というイベントを通して自身の中に伸びしろの存在を信じているからです。

 

もう一個、興味深いところがあります。

興味深いと言うか、非常に由々しき問題かもしれません。

既婚、未婚、男女に関わらず、全ての年代において、幸福のピークは20代であるということです。

30代、40代と年代が上がるごとに幸福度は下がってしまっているのです。

これはなぜでしょうか。

人生は右肩下がりなのでしょうか。そんなの辛すぎる。

「幸福」の象徴は「若さ」ではないはず。

太ったり、シミができたり、白髪が出たり、かかとに角質がたまることは不幸ではないはずです。

  

今月20日に僕の3冊目の書籍『38歳、男性、独身』が出ます。

そこに「人生は加点方式だったのです」ということを書きました。

20代、30代、40代、50代と、年代が進むにつれ失っていくものは確かにあります。それは、体力や回復力、人によっては毛髪や視力や肌の張りなど。どれもフィジカルなことばかりです。

テクニカルなことやメンタルで言えば、得る物のほうが多いはずなのです。書籍内では加齢と共に得た物をこのような言い回しにしています。

 

自身や他者に対する許容範囲は広がり、愛しさを感じる対象が増え、ちょっとやそっとでは臆さないようにもなり、感情やストレスのコントロールもスムーズにできるようになりました。

さらに「これまでなんだかんだやってきたんだから、これからもきっと大丈夫だ」という根拠なき自信も身につけつつあります。

 

もっとありますよ。書ききれなかった得た物。

コミュニケーション能力は毎年向上していますし、危険察知能力や俯瞰する能力だって上がっています。金銭感覚や物欲や性欲のなどのコントロールだって上手になっています。

フィジカルのパラメーターが下がる以上に、メンタルとテクニカルのパラメーターは上がっているはずなのです。

若い時はフィジカルで勝負していたスポーツ選手が年齢と共にこれまでの経験からの「読み」で勝負するように、僕たちは若さと引き換えに、多くのモノを得ているのです。

ここでも自信を持って言えます。

人生は、間違いなく加点方式なのです。

 

それなのに、年代が上がるごとに幸福度は下がっていく。

手に入れることができなかったモノ、叶えられなかった夢、一緒になれなかった人。あのとき、ああすればもっと。

これらの「たられば」が原因なのでしょうか。

過去は美化しやすいから「あの頃より今不幸だ」と考えてしまうのか。

人生の大枠がだいたい確定してしまったことに絶望しているでしょうか。

それとも、こんなに多くのものを手に入れているはずなのに、それに気付けないのか。

ちょっと自己啓発っぽくなってきました。

いかんいかん。

 

様々なものを得た僕たちですが、一番上手になったなと感じるのは「物事に納得性を持たせること」です。

見上げれば果てしない青天井、見渡せばぞっとするような美しい青い芝生が広がる世界で「自分にはこれがいい。いや、これがいい」と自分の選択に納得性を与えることがすこぶる上手になったのです。

理想と現実の間に、大納得の着地点をスピーディーに発見し、そこにヒラリと軽やかに着地をする。そして、それを「成功」と呼ぶことができる。ちょっとだけ着地点がずれても「想定の範囲内だよ」と言える。

これは諦めでも妥協でもない。

ここはハッキリ否定しておきたい。

冷静と情熱の間で言えばかなり冷静寄りの視線です。

これを「諦め」と言ってしまえば、人生の幸福度はどんどん下がっていってしまうのかなと思います。

大人になった僕たちはいつだって狙った場所に着地成功しているのです。

そんな僕たちの成長にもっとみんな気付いたらいいのに。そうすればきっと「今、幸せですか?」の答えは今とは少し違ってくるのではないでしょうか。

またもや自己啓発みたいになってしまいました。

いかんいかん。

撤収。

 

今回の原稿は入っていませんが、こんな独身の話が詰まった書籍を発売します。

 まえがきを無料公開しています

ui0723.hatenablog.com

 

会員限定のブログ200本以上。オンライン&オフラインのイベントも。

きっとここまで読んでいただいたあなたと僕は、気が合う。一か月だけでもどうぞ。

ui0723.hatenablog.com

 

最後に、今回のブログで「今、幸せですか?」と書く度にこの方たちが脳内に。

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阿佐ヶ谷姉妹。『玄関を開けたらいる人』

 

ありがとうございました。

おしまい